こんにちは。私は京都を中心に日々、探偵調査員として働いています。今日は、少しのんびりと、わたしの日常を綴ってみようと思います。
探偵と聞くと、映画のようにハードボイルドな世界を想像する方が多いのですが、実際のところ、探偵の日常はもっと静かで、穏やかです。古い町並みの中を歩きながら尾行、朝から夜までの長い張り込み、そんな仕事です。京都の朝は、時間がゆっくり流れている気がします。この静けさの中で、その日の調査スケジュールを確認するのが日課です。
調査の多くは浮気調査や素行調査ですが、最近は人探しなど「家族に会いたい」という温かい依頼も増えました。探偵というより、“縁つなぎ屋”のような気持ちで関わることもあります。
祇園の路地裏でのひととき
ある日の午後、祇園での聞き込み調査の帰りに、少し寄り道をしました。小さな甘味処の暖簾が風に揺れていて、「ちょっと休もうかな」と吸い寄せられるように入りました。
頼んだのは、みたらし団子と熱いお茶。窓の外には石畳の路地と、通り過ぎる通行人。その光景をぼんやり眺めながら、「あぁ、京都で探偵やっててよかったなぁ」としみじみ思う瞬間でした。
探偵の仕事って、神経を使うことが多いんです。張り込みでは何時間もじっとしていなければいけないし、情報の扱いには細心の注意が必要。でも、こういう“ほっとする時間”があるから、また次の日も頑張れるんですよね。
張り込みと猫の話
張り込み中、じっと車の中で待っている時間はとても長いです。そんなときのコンビニで購入したおにぎりと、近所をうろつく猫たち。京都の猫は、なぜか人懐っこい子が多い気がします。あるときなんて、張り込み中の車のボンネットにちょこんと座って、まるで「がんばりや」と言わんばかりにこちらを見てきました。
その瞬間、緊張がふっと解けて、思わず笑ってしまいました。張り込みの最中に見る、そんな“ちいさな出来事”が、意外と記憶に残るんですよね。
探偵と京都の時間
探偵の仕事は人の「時間」に寄り添う仕事でもあると思います。過去を探す人もいれば、未来のために確かめたい人もいる。京都の町には、そんな“時間の層”が幾重にも重なっていて、それがこの仕事をより深くしてくれます。
例えば、古い町家で子供を見送る母を見た時に「この家、100年前も人を見送ってたのかな」と思うことがあります。京都って、本当に不思議な場所です。探偵にとっては、まるで“生きている地図”のような街なんですよ。
夕暮れとほうじ茶の香り
一日の終わりに、自宅で報告書をまとめることもあります。夕方になると、窓の外からほうじ茶を炒る香ばしい匂いが漂ってきて、思わず手を止めてしまうことも。そんな香りに包まれながら、今日の出来事を自身のノートに書き留めます。
「今日はよく歩いたなぁ」「猫に癒されたな」「依頼人さん、少し元気そうでよかった」そうやって書きながら、ちょっとだけ心が温かくなるんです。
おわりに
京都の探偵の仕事は、派手ではありません。でも、ひとつひとつの出会いの中に、小さなドラマが詰まっています。時には涙があり、時には笑いもある。そんな日々の積み重ねが、今のわたしの宝物です。
明日はどんな一日になるでしょう。また鴨川の風を感じながら、ゆっくり歩いていこうと思います。探偵も、人の心の流れも、京都の時間も――どれも焦らず、静かに寄り添っていくのがいちばんです。

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